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このタイガーロールでは、ライフリズムナビを活用したご入居者の排泄リズム改善に関して説明します。
まずは本書に書かれているステップに沿ってライフリズムナビの活用方法を習得しましょう。トイレ内に人感センサーを設置していないご施設でも、センサーから取得したデータや「イベント入力機能」を用いることでご入居者の排泄リズムを読み解き、課題改善にお役立ていただけることでしょう。
本章は「過去データ」、「詳細データ」の見方をご理解いただいていることを前提に説明を進めてまいります。まずは、下記URLの「データの見方」をご参照ください。
事前確認項目
あらかじめ用意するもの
PCまたはスマートフォン、タブレット
STEP1:排泄記録を過去データに登録する
『過去データ』の「イベント入力機能」を使うことで、排泄や服薬などを記録をすることができます。「イベント入力機能」を活用して排泄記録を取り、ご入居者それぞれの排泄状況を把握しましょう。
※「リアルタイム」へのイベント設定は現在開発中です。
「イベント入力機能」使用手順
居室一覧画面より、イベント登録を行いたいご入居者を選択し、詳細画面へ。
設定したい日にちの『過去データ』のグラフ部分をクリックし、『イベントを新規登録』ダイアログを表示します。
設定したい時間を選択します。
記録したいアイコンを「イベント」から選びます。
【保存】ボタンをクリックすると、グラフ上に設定したイベントが表示されます。
赤枠で囲んだように設定した時間にアイコンが表示されます
登録内容の編集・削除
❶修正・削除したいアイコン、もしくは設定した時間のグラフ部分をクリックします。
❷表示したダイアログでイベントの修正・削除を行います。
登録内容を修正したい場合:表示されたダイアログの修正したい項目を変更し、【保存】ボタンをクリックして保存してください。
削除したい場合:ダイアログ下部の【削除】ボタンをクリックしてください。
イベント入力イメージ画像
イベント入力をすると、下図のようにグラフ上にアイコンが表示されます。
「排泄」アイコンだけでなく「投薬」に関するアイコンなどもございます。ライフリズムナビの詳細データと「排泄」や「投薬」のイベント記録を組み合わせて確認することで、さまざまな因果関係が見えてくるかもしれません。ぜひご活用ください。
登録できる「イベント」の種類は随時追加されています!
最新のイベントの種類は下記のリンクよりご確認いただけます。
STEP2:ご入居者の生活リズムから課題の仮設を立てる
日々取得したデータを一か月単位で比較してみると、ご入居者の生活リズムがつかめてくるでしょう。
睡眠リズムを把握する
下図は『レポート表示』の『睡眠ログ』です。
赤く囲っている21〜22時、1 〜2時頃に離床している傾向がみられるため、このタイミングでトイレに行っているのではないかと推測ができます。
ベッドセンサーで取得した睡眠状況のデータから、就寝時刻や中途覚醒状況、起床タイミングなどの傾向を確認しましょう。普段の睡眠リズムを把握しておくことで、夜間帯の過ごし方の変化に気付くことができるかもしれません。
トイレ内人感センサー反応頻度や周期を確認する
下図は『レポート表示』の『活動ログ』です。
※トイレ内に人感センサーを設置しているご施設のデータです。
赤く囲っている深夜1〜2時頃にかけてトイレの人感センサー(赤色)が反応している事が多い為、夜間帯のトイレへ行かれるタイミングが把握できます。トイレの人感センサーの反応が長時間記録されている場合は排便の可能性も考えられます。センサー情報を解析していくことで、自立されており介入することが困難な方でも、プライバシーに配慮して情報を把握することが可能です。
STEP1の「イベント入力機能」で記録した排泄記録やベッドセンサー・トイレの人感センサーのデータを一か月単位で比較することで、排泄の時間や頻度などを確認しましょう。
課題に対して仮説を立ててみる
睡眠や排泄などのリズムや傾向から、下記のような仮説が立てられるかもしれません。
- 夜間不穏で徘徊がみられる際は、便秘かもしれない
- 夜中の離床は、トイレに行かれているタイミングかもしれない
- 夜間、一度も離床されず熟眠の場合、明け方失禁されているかもしれない
- 普段よりも夜中の離床時間が長い場合、お手洗いの失敗をしているかもしれない
- ●時頃にトイレに行く傾向がみられる
- 普段より離床回数が多いことから、膀胱炎などの疾患によりトイレ回数が増えているかもしれない
- 便秘の方で体動が増えている方は、もしかしたら排便の兆候かもしれない
ご入居者の生活リズムを把握し、生活リズムと排泄の変化を察知することで排泄トラブルの原因を探ってみましょう。
STEP3:仮説を元にケアを検討する
STEP2で解説した、センサーデータやご入居者の情報を複合的に合わせ、課題の仮設を立てることができたら、仮説へのアクションプランを検討してみましょう。
アクションプラン例
適切なタイミングでトイレへの声掛け
排泄トラブル発生時やその前後のデータを参照することで、傾向やタイミングを掴むことが可能です。定時の排泄介助やトイレへの声掛けではなく、ご入居者に合わせて適宜介入を行うことで、排泄リズムの調整ができるかもしれません。
医療職とデータを共有して薬の検討を行う
夜間頻繁にトイレへ行くのが原因で不眠傾向がみられるご入居者に対し、ライフリズムナビのデータを医療職へ提供することで改善ができるかもしれません。また、「訴えのできない方」、「認知症で事実理解ができていない方」の場合でも適切な対処が可能です。
活動量を増やす
レクリエーションへの参加や外出といった日中活動を増やすことで、夜間の睡眠改善や排泄への促しに効果があります。活動量が増加することにより、食事量の増加などにも繋がります。
水分量の調整
トイレの失敗が増え始めると、意識的に水分や食事量の摂取量を控えてしまう方もいらっしゃいます。トイレの回数や日中活気が無いといった様子の変化が見られた場合には、一日の水分摂取量を調整することで排泄リズムの調整に繋がるかもしれません。
食事内容の確認
日々摂取している食事の偏りが、便秘の原因になっているかもしれません。
食欲がない時は脱水に陥る可能性があり、さらに脱水が原因で食欲が落ちるという悪循環も考えられます。食事内容を確認し、食事量の低下や主菜・副菜のバランスが偏っていないかなどを確認してみましょう。
生活リズムと排泄状況を照らし合わせることで、課題に対し、さまざまな仮説が立てられます。まずは、上記のような対応策をぜひご検討ください。
STEP4:ケアを実行して変化を見る
立てた仮説への対応策を元に、ご入居者の変化を追っていきます。
対応策を実施してどのような変化があったかを、改めてライフリズムナビのデータで確認してみましょう。最初は立てた仮説がご入居者の改善に繋がらないこともあるかもしれません。課題へのアプローチを一つひとつ試していくことで、解決策を探っていきましょう。
STEP5:検証を繰り返して改善を目指す
仮説を立てて対応策を試したものの、変化が見られない…。
そんな時には、新たな仮説を立てるためにSTEP2から改めて確認していくことが重要です。これらを繰り返していくことによって、ご入居者の排泄課題の解決に向けて取り組んでいきましょう!
これまで記録をしていた排泄などのご入居者情報に加え、ライフリズムナビで取得した居室内の情報を掛け合わせることで、より良いケアに活かしていきましょう。
まとめ
本章では、複合的なデータを参照することにより、排泄リズムを整えトラブル改善に向けた活用方法をご紹介しました。
トイレのリズムは人それぞれ異なるため、生活サイクルを把握することが適切なタイミングで排泄ケアを行うキーポイントとなります。
夜間帯に不眠の時には「頻尿」、不穏状態で徘徊をされている時には「便秘」など、排泄リズムの乱れが生活リズムの変化に関係する場合があるかもしれません。
また、排泄の失敗が続くと、排泄を減らすために食事や水分を摂らなくなる人もいます。そんなご入居者の変化にいち早く気づくことができるのは、見守りシステムではなく、日々関わっているケアスタッフの皆様です。
「ご本人様では訴えることのできない」、「認知症で事実理解ができていない方」へのアセスメントにライフリズムナビのデータを活用し、課題解決の材料として、ぜひご活用ください。